引越しの前後は忙しく、面倒に思いがちなのが「住民票の異動(移動)」です。
とくに実家から賃貸住宅に引っ越して、はじめて一人暮らしをする場合は、「賃貸だし、住所は実家のままにしておこう」と思う方もいるでしょう。
しかし賃貸でもきちんと移しておかないと、新しい街の生活で不便があったり、法的なペナルティーを受けたりする可能性もあるのです。
この記事では、住民票を移動する義務やしない場合のデメリットなどを解説します。
実家から賃貸住宅に引っ越すときに「住民票の異動」は義務!?
<住民票の大切な役割と引越しにともなう異動の義務>
ご存じの方が多いと思いますが、少しおさらいをしておくと、「住民票」とは住民基本台帳を構成する帳票で、住所のほかにも氏名や本籍などが記載されたものです。
写しなどが本人確認に使われますが、実は重要な役割を担っています。
たとえば国民健康保険や国民年金など、私たち個人の生活に深く関わる行政サービスの提供や管理の基礎になっています。
新しく暮らす街でも行政サービスを確実に受けられるようにするためには、「住民票の異動(移動)」がとても大切です。
転出・転入の手続きは、住民基本台帳法に基づいておこなわれます。
届け出に関して下記が定められています。
①引越し日から14日以内に届け出ること
➁正当な理由なく届け出をしない場合、5万円以下の過料を支払う
つまり、引越し後に異動の届け出をすることは法律上の義務でもあります。
<異動しなくてもよいケース>
異動の義務には、例外が設けられています。
①一時的な移住(1年のうちに旧住所に戻る見込み)
②生活拠点が変わらない(頻繁に実家に帰るなど)
これらに該当する場合の異動は任意となりますが、通常、該当するのは学生や短期の単身赴任者です。
実家を出て賃貸住宅などで本格的に一人暮らしをはじめる場合や、家族で引っ越して生活の拠点も変わるときなどは、やはり異動が必要です。
実家から賃貸住宅への引っ越しで住民票を移さない場合のデメリット
住民票を異動させないことは、実生活においてもデメリットが生じます。
●書類発行が煩雑になる
社会人は公的書類が必要になる場面も多く、印鑑証明や所得証明書などは、住民票のある役所で発行されます。
書類が必要になるたびに、旧住所の役所へ出向く事態は避けたいですね。
●住居手当、通勤手当が受けられない可能性
住民票の記載と現住所が違うと、会社への申請が通らず支給されないことがあります。
<そのほかのデメリット>
・新住所で実施される選挙に参加できない
・役所の大切な郵便物が新住所に届かない
・運転免許の更新はがきが新住所に届かない
・原則、住民票のある自治体でおこなう「確定申告」ができない、または手続きが煩雑になる
・新住所の街の公共施設やサービスが利用できない場合がある
実家から出て、賃貸住宅などで暮らしをはじめるときは、住民票異動の手続きを忘れずに予定しておきましょう。
ちなみに基本の手続きは、マイナンバーカード、印鑑、本人確認書類を持って旧住所の役所で転出届けをおこない、新住所の役所で転出証明書とともに転入届けを出すだけです。